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サンクト・ペテルブルグ国立児童音楽劇場 「ザゼルカーリエ」[鏡の向うの世界] 2009年4月2日『シンデレラ(チェネレントラ)』

2009年4月2日

 児童劇場と名前がついている劇場ですが、大人向けの作品も上演しています。ロシアの作曲家だけでなく、ヨーロッパやアメリカのクラシック・オペラなど幅広いレパートリーを持っています。この作品は、2009年3月終わりから4月の頭にかけて行われたザラターヤ・マスカ[ゴールデン・マスク](ロシア国内の劇場で上演された新作で優れたものに賞を授与する)で、作品賞と指揮者賞を獲得しました(今回はそのノミネート公演だったため、公演会場自体はモスクワ音楽劇場でした)。

音楽:ジョアキーノ・ロッシーニ
脚本:フェレッティ
レチタティーボ部分のロシア語テクスト:A・ペトロフ、P・ブーベリニコフ
音楽監督・指揮:P・ブーベリニコフ
監督・演出:A・ペトロフ
美術:E・オルローワ
舞踊振り付け:I・ノービク

大人向けのカテゴリーに入っていますが、子供にも見せられると思います。
ロッシーニのこのオペラは、シャルル・ペローのお話をもとにしながら大胆に改作されています。一番大きな違いと言えば王子やその従者が衣服を取り換えてお互いになりすますエピソード、継母ではなく継父のところなどが挙げられます。ザゼルカーリエの演出では、アリア部分はイタリア語上演ですが字幕はなく、ロシア人には歌詞がわからないこと前提です。レチタティーボ部分だけがロシア語です。それでも次から次へと抱腹絶倒のお芝居(アリアの間はジェスチャーで)が続き、飽きる暇をまったく与えません。アリアで延々と身代わりの秘密を明かす従者とその前で目を白黒させている継父。歌い終わった後で「イタリア語じゃわからないか。」とのたまうロシア語は傑作です。
 音楽で名高いロシアの劇場だけあって、“児童”劇場ながらも出演者の歌唱力も折り紙つきです。国際コンクール受賞者が多く所属しています。芸達者(演劇的お芝居の点でも歌の点でも)な歌手に、ウィットに富んだ舞台衣装・装置、オーケストラも力を合わせて、上質のコメディーに仕上がりました。



サンクト・ペテルブルクからのひとこと日記

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