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3/19 ウリヤナ・ロパートキナ ガラ・コンサート 第9回マリインスキー国際バレエ・フェスティバル マリインスキー劇場

2009年3月19日

Ⅰダイヤモンド 
音楽:ピョートルチャイコフスキー(交響曲第三番ニ長調「ポーランド」 1875 第二、三、四、五部)
振付家・演出:カリン・フォン・アロルジンゲン、サラ・レランド、エリス・ボーン、ション・ラベリ 美術:ピーター・ハービー 
衣装:カリンスカ 衣装顧問:ホリー・ハインス 照明コンセプト:ロナルド・ベイツ 照明:ペリー・シルベイ

出演:ウリヤナ・ロパートキナ、ダニーラ・コルスンツェフ

近年のライモンダ・デビューのときにはさすがに古典はもうきついのではないかとささやかれていたロパートキナでしたが、この日のダイヤモンドではそんなうわさが一瞬でもたったとは信じられないほど素晴らしい踊りでした。指先まで計算された美しさ、完璧なポーズ、見事なまでの音楽性で観客を舞踊の詩の世界へと誘いました。

Ⅱディベルティスメント
五つのそれぞれ雰囲気の違う作品が上演され、選択に趣味の良さが光りました。
① 別れ
音楽:ジョン・ポウエル 振り付け:ユーリー・スミカーロフ
出演:エブゲーニヤ・オブラスツォーワ、ウラジーミル・シクリャーロフ

大人な雰囲気のタンゴ風デュエット。対立のあげくに別れてしまう。ふたりともに普段の明るい役とはまったく別の顔を演じました。

② バレエ「日本の夢」から「鶴」
音楽:レナード衛藤、山口幹文、A・トーシャ 振り付け:アレクセイ・ラトマンスキー
出演:ドミトリー・グダノフ(モスクワ・ボリショイ劇場)

ちょと目先を変えて。不思議なたたずまいで観客を異次元の世界に引き込みました。

③ 秋色のデュエット
音楽:アルボ・ピャルタ 振り付け:エブゲニー・パンフィーロフ
出演:エリヴィラ・タラーソワ、アンドレイ・バターロフ

困難ながらも美しいリフトの連続が秀逸な作品。アクロバティックにはけっしてならず、詩情さえ感じさせました。

④ 古い写真
音楽:ドミトリー・ショスタコーヴィチ 振り付け:ドミトリー・ブリャンツェフ
出演:イリーナ・ゴルプ、イワン・シトニコフ

ソ連時代の背の小さな女の子と背の大きい男の子の凸凹コンビのコミカルなかけあいが楽しい。レトロな雰囲気も良し。

⑤ 矛盾
音楽:ヤン・ティルセン 振り付け:フランチェスコ・ヴェントリリヤ
出演:ウリヤナ・ロパートキナ、イワン・コズロフ

理屈では割り切れない激しい感情にゆさぶられる男と女の物語。成熟した大人の二人だからこそできる、観客を納得させる迫真の演技でした。

Ⅲシェヘラザード 一幕舞踊ドラマ
音楽:ニコライ・リムスキー=コルサコフ 振り付け:ミハイル・フォーキン 
脚本:レフ・バクスト、ミハイル・フォーキン(アラブの物語をモチーフに) 復元:イザベル・フォーキナ、アンドリス・リエパ 
舞台装飾と衣裳:アンナ・ニェージュナヤ、アントン・ニェージュヌイ(レフ・バクストのスケッチを基に)

出演   シェヘラザード:ウリヤナ・ロパートキナ
      金の奴隷:ドミトリー・グダノフ(モスクワ・ボリショイ劇場)

 ロパートキナのシェヘラザードは、シャフリアル(サルタン)の前で優等生過ぎて、その後、自分の心の求めるままに禁忌を犯して奴隷を解き放つという情熱的な行動との関連性がつかみにくいかもしれません。全体を通してロパートキナは踊りのスタイルを重視し、それがともすると禁欲的な様相にさえつながりかねません。主人の不在に、束の間の快楽に身をゆだねるというのではなく、ハーレムに君臨する自分の美しさを十二分に感じているといった様子でした。グダノフは跳躍や回転を慎重に完璧にこなしてはいましたが、踊りのスタイルにはあまり執着はないようでした。さらには女王のように君臨するロパートキナを前に、「金の」奴隷ではなく、ただの奴隷になり下がった感がなきにしもあらず。すばらしい俳優でもあるグダノフからはより良い演技を期待していたので残念でした。



サンクト・ペテルブルクからのひとこと日記

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