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2008・3・25 「ジゼル」 モスクワ・ボリショイ劇場
2008年3月25日
(ジゼル…ナジェージュダ・グラチョーワ)
(アルブレヒト…ニコライ・ツェスカリーゼ)
(ミルタ…マリヤ・アレクサンドロワ)
この日の舞台は、素直に「良い舞台だったなあ」と思いました。ジゼルをはじめ主なキャストの印象も良かったですし、舞台の雰囲気もなかなか。カーテンコールも大盛況。終演後に感じたのは、満足感…まさにその一言に尽きるでしょう。
まず何よりも、グラチョーワのジゼル。テクニック、表現力、存在感・・・観る者を魅了してくれます。最近では確か2007年2月の初めにも彼女はジゼルを踊りました(この時も素晴らしかった)が、あの時よりもさらに”ジゼル”の姿をはっきりと見て取れました。
彼女はもう若いとは言うには少し年を重ねすぎていますが、それでも“少女”でした。一幕目での彼女は、儚げで可憐なジゼルそのものだったのです。はしゃいだり、ちょっとすねたりしてみる仕草のかわいらしいこと…。
二幕目は彼女の実力の出しどころ。静かに優雅に、美しく踊ります。彼女のジゼルには、儚さの中にも女性らしい強さを感じます。踊りも相変わらず群をぬく巧さ。足音ひとつしない静かな踊りでした。一つ一つの動きが丁寧で、手抜きがない。ぜひとも若手にこの点を見習ってほしいもの。
アルブレヒト…濃い。まあ、ツェスカリーゼですから。いつでも独特の持ち味と魅力をふりまいている人ですが、アルブレヒトもまた個性的。ちょっとアルブレヒトのイメージが違うけれども、それはそれでアリのような気にさせるところがすごい。
例えば、ジゼルが倒れて死んでしまう場面。ショックで崩れ落ちてしまうその表情からは、悲しみや絶望の色ではなく、どちらかというと感情をうまく表現できない困惑の色が感じられました。好意的に解釈すると、こういう表現もありなのかも…と思ってしまいます。それから、一幕で楽しそうにジゼルと戯れる場面では、幻のお花畑が見えました。何とも乙女チック。王子というより乙女?それくらい楽しそうに踊っていたのです。
最近ちょっと身体が重そうなツェスカリーゼ。踊りのコンディションも良いとは言えない日が結構ありますが、この日はまあまあでした。特に目だったグラつきもなかった…かな?でもやっぱり…もうちょっと身体絞って欲しいところ。そうしたらきっともうちょっとキレが良くなると思うんだけれども。
アレクサンドロワはいつも“私ここよ!”といった迫力と存在感を持った人ですが、この日は正直な所いつもよりやや印象が薄い気がしました。特に何が悪かったとかはないのですが、逆にここが良かったという所がなかった気もします。もしかしたらジゼルとアルブレヒトで十分濃かったから、少し控えめに見えただけなのかもしれません。彼女の踊りは安定感があるという印象がありますが、この日も迫力こそいつもより控えめなものの、しっかりと踊っていました。やっぱり彼女はミルタだなと思いました。
そういえばこの日のオーケストラはゆっくりめで演奏しているように思われたの
ですが、終演後のアレクサンドロワが言うには「私の所はいつもより早かったわよ」とのこと。指揮者も彼女の迫力に気を引き締めすぎたのか?真実は謎のまま。
他は…ハンスがギオルギー・ゲラスキンで、パ・ドゥ・ドゥがクセーニヤ・ケルンとアンドレイ・バローチン。ウィリー2人はネリー・コバヒゼとオリガ・ステペレツォーワ…とりあえず名前を挙げて見たものの、特に書く事はないんです。印象になくて…;すみません。ハンスはちょっと力んでる感があったような気も。
最近、コールドバレエがいまいちピシっと揃わないボリショイバレエ。この日はどうだっただろう?揃ってないと上手い人は目立つし、下手な人もまた同じ。その人たちを見つける楽しさはあるけれど、やっぱり綺麗にそろってこそコールドバレエ。舞台全体を美しく見せるためにも、気持ちもう少しでもそろえてほしいと思う今日この頃。
モスクワからの劇場だより
ロシアのパフォーミング・アーツ エンターテイメントのページはこちらです。
(アルブレヒト…ニコライ・ツェスカリーゼ)
(ミルタ…マリヤ・アレクサンドロワ)
この日の舞台は、素直に「良い舞台だったなあ」と思いました。ジゼルをはじめ主なキャストの印象も良かったですし、舞台の雰囲気もなかなか。カーテンコールも大盛況。終演後に感じたのは、満足感…まさにその一言に尽きるでしょう。
まず何よりも、グラチョーワのジゼル。テクニック、表現力、存在感・・・観る者を魅了してくれます。最近では確か2007年2月の初めにも彼女はジゼルを踊りました(この時も素晴らしかった)が、あの時よりもさらに”ジゼル”の姿をはっきりと見て取れました。
彼女はもう若いとは言うには少し年を重ねすぎていますが、それでも“少女”でした。一幕目での彼女は、儚げで可憐なジゼルそのものだったのです。はしゃいだり、ちょっとすねたりしてみる仕草のかわいらしいこと…。
二幕目は彼女の実力の出しどころ。静かに優雅に、美しく踊ります。彼女のジゼルには、儚さの中にも女性らしい強さを感じます。踊りも相変わらず群をぬく巧さ。足音ひとつしない静かな踊りでした。一つ一つの動きが丁寧で、手抜きがない。ぜひとも若手にこの点を見習ってほしいもの。
アルブレヒト…濃い。まあ、ツェスカリーゼですから。いつでも独特の持ち味と魅力をふりまいている人ですが、アルブレヒトもまた個性的。ちょっとアルブレヒトのイメージが違うけれども、それはそれでアリのような気にさせるところがすごい。
例えば、ジゼルが倒れて死んでしまう場面。ショックで崩れ落ちてしまうその表情からは、悲しみや絶望の色ではなく、どちらかというと感情をうまく表現できない困惑の色が感じられました。好意的に解釈すると、こういう表現もありなのかも…と思ってしまいます。それから、一幕で楽しそうにジゼルと戯れる場面では、幻のお花畑が見えました。何とも乙女チック。王子というより乙女?それくらい楽しそうに踊っていたのです。
最近ちょっと身体が重そうなツェスカリーゼ。踊りのコンディションも良いとは言えない日が結構ありますが、この日はまあまあでした。特に目だったグラつきもなかった…かな?でもやっぱり…もうちょっと身体絞って欲しいところ。そうしたらきっともうちょっとキレが良くなると思うんだけれども。
アレクサンドロワはいつも“私ここよ!”といった迫力と存在感を持った人ですが、この日は正直な所いつもよりやや印象が薄い気がしました。特に何が悪かったとかはないのですが、逆にここが良かったという所がなかった気もします。もしかしたらジゼルとアルブレヒトで十分濃かったから、少し控えめに見えただけなのかもしれません。彼女の踊りは安定感があるという印象がありますが、この日も迫力こそいつもより控えめなものの、しっかりと踊っていました。やっぱり彼女はミルタだなと思いました。
そういえばこの日のオーケストラはゆっくりめで演奏しているように思われたの
ですが、終演後のアレクサンドロワが言うには「私の所はいつもより早かったわよ」とのこと。指揮者も彼女の迫力に気を引き締めすぎたのか?真実は謎のまま。
他は…ハンスがギオルギー・ゲラスキンで、パ・ドゥ・ドゥがクセーニヤ・ケルンとアンドレイ・バローチン。ウィリー2人はネリー・コバヒゼとオリガ・ステペレツォーワ…とりあえず名前を挙げて見たものの、特に書く事はないんです。印象になくて…;すみません。ハンスはちょっと力んでる感があったような気も。
最近、コールドバレエがいまいちピシっと揃わないボリショイバレエ。この日はどうだっただろう?揃ってないと上手い人は目立つし、下手な人もまた同じ。その人たちを見つける楽しさはあるけれど、やっぱり綺麗にそろってこそコールドバレエ。舞台全体を美しく見せるためにも、気持ちもう少しでもそろえてほしいと思う今日この頃。
モスクワからの劇場だより
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